西横山の小正月行事

昨年は大雪とコロナのために大幅縮小した小正月行事ですが、今年は万全の感染防止対策の上、子どもも大人も元気に参加して行われました。上越市西横山小正月行事は、上越市の無形民俗文化財に指定されています。1月14日、15日と2日間にわたり、各種行事が行われました。

14日の夜は、子どもが主役の鳥追いです。豊作を願い、害鳥を追い払うため、太鼓を叩きながら大きな声で歌います。今年は7名の子どもたちが、フカグツとミノボウシに身を包み、元気に歩きました。

この日の夜は、お宮さんで子どもたちだけでお菓子を食べたり、遊んだりしながら過ごす特別な日なのですが、コロナ対策で今年は短めで終了。次の日もあるからね。

15日の昼間も子どもが大活躍。まずは、今年の新婚さんを祝う「嫁祝い」です。お嫁さんの頭の上でヌルデの太刀を打ち鳴らしながら祝い唄を歌います。子宝に恵まれますように、との願いを込めて、はりきります。

嫁祝いの後は、休む間もなく「焼き草集め」へ。夜のサイノカミ「オーマラ」で使う、ワラを集めるために集落を回ります。嫁祝いで使ったヌルデの太刀にワラをさし、担いで運びます。たくさん集めて、大きなサイノカミを作ります。

この後はお楽しみのご褒美がまっていました。集落の方々にいただいた、お菓子の山!これを子どもたちで仲良く分けて・・・ではなく、争奪戦が(^0^)!でも、ここまで子どもたちを引っ張ってきた小学4年生「大将(=オヤカタ)」が場を仕切り、子どもたちのお仕事が終了しました。お疲れ様!

クライマックスは、サイノカミ「オーマラ」です。子どもたちが集めたワラと神木でサイノカミを作り、昨年のしめ縄などをくくりつけます。ここまでは他でも行われているサイノカミと同じなのですが、西横山ではすぐにこれに火をつけることはしません。麻のたいまつを持った男性陣が、このサイノカミを回りながら、火の付いたたいまつでたたき合う、勇壮を通り越して、ちょっとキケンな行事です。厄年の人や新郎はもっぱら叩かれ役です。叩いてもらって厄を払い、無病息災を願います。20~30分ほどの間ですが、「オーマラ、オーマラ!」と叫びながら走り回る光景に、見ている私たちも思わず見入ってしまいます。最後はたいまつを放り上げ、サイノカミに火をつけます。今年は風もなく、火の粉が真っ直ぐ立ち上り、とても美しい火柱でした。

こんな幻想的な写真が撮れます
熱く燃える男達を保存会会長が静かに見守ります
子どももまだまだ元気!暗闇で雪だるま作り

この小正月行事に参加させてもらうと、あらためて地域の暮らしと森・自然とのつながりを強く感じます。子どもたちが使う太刀はヌルデの木。繭玉作りに欠かせないのはアカメノキ(=ミズキ)。サイノカミの神木はクリの木が良いけど、近年はあまり良い木がないのでハンノキを使っているそうです。常に地域の自然・資源を見つめ、恵みを生活に活かしているんだな、と感じます。ミノボウシとフカグツも、地域の方が作って下さったものを長年使ってきましたが、ちょっとくたびれてきたので、「今年はちょいワラ部会で新調しよう!」と意気込んでいます。来年も楽しみです!